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映画『シングルマン』あらすじ解説【トム・フォード/コリン・ファース】

シングルマン (字幕版)

トム・フォード監督の2作目の映画『ノクターナル・アニマルズ』が公開されるということで、1作目の『シングルマン』をおさらい。

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『シングルマン』あらすじと解説

 

"この1日を生き抜け"

そしてまた 心が砕けて沈んでいく

溺れて 息ができない

 

未来が見えなかった

毎日が靄の中

だが今日こそ変えてみせる

 

16年寄り添った愛する人を不慮の事故で失い、死を決意したジョージ(コリン・ファース)の最後の1日が描かれた作品。

 

1960年代が舞台ということもあり、モノクロ映画をカラー化したような色彩で作られており、ジョージが注視したり、触れたりしている部分がふわっと現実の色味に変わったりする。

初めて観た時に「色について言及する部分もあるし、やたらと色にこだわってるのは何なんだろう」と思っていたら、後々監督したのがファッションデザイナーのトム・フォードだと知りました。

うーん、納得。

色だけでなく、絵作りも相当にこだわってる。

 

たった1日のストーリーなんですが、ジョージは「これで最後なんだ」という目で今の一瞬一瞬を切り取るように世界を見つめていきます。

ひとつひとつの物事を丁寧に見て、今という瞬間を大切にしていく。

 

主人公のジョージは聡明で、本当に大事なことだけを話し、話せばウィットに富み、それでいて非常に愚かでロマンチックな部分もあります。

大学教授である彼の講義も素晴らしい。

生徒:"聖句「人は理由なく我を憎む」は的外れだ"とあります

ユダヤ人迫害を正当化する意図が?

 

ジョージ:いや

作者は反ユダヤではない

迫害は過ちだ

ただ"憎む理由"はあった

 

誤った理由がね

 

それは想像の産物

つまり恐怖だ

 

ユダヤ問題は離れて

少数派(マイノリティー)の話をしよう

特に"隠れた少数派"

少数派全般は多彩だ

金髪とかソバカスとか

 

だが問題はーー

世間から脅威と見なされるタイプだ

たとえ脅威が妄想でも そこに恐怖が生じる

実体が見えないと恐怖は増す

それで迫害されるんだ

 

だから理由はある

「恐怖」だ

少数派も人間なのに 普通のね

 

ではとりあえずハクスリーは忘れて

恐怖を論じよう

恐怖こそ真の敵だ

恐怖は世界を支配する

社会を支配する便利な道具だ

政治家の政策にも商品宣伝にも便利だ

 

例えば

攻撃される恐怖

共産主義への恐怖

体制の違うカリブ海の島国への恐怖

黒人文化の広まり

プレスリーの腰つき

たしかに脅威だが・・・

 

口臭で嫌われる恐怖

老いや孤独の恐怖

語りかけても通じない恐怖

 

よい週末を

真理を説きながらもセンスがよく、そして自分の苦悩まで表現している・・・ってもう、完璧すぎるんですけど!!

 

こんなに聡明な人なのに・・・

死ぬ時には拳銃をくわえながら、枕の位置がいまいちだとか、やっぱシャワー室の方がいいかな、いやいややっぱりベッドの上で、寝袋に入って撃ったら血しぶき飛ばないんじゃね?

みたいなことをずーーーーーっとやってるんですわ。

ねぇバカなの!?バカなの!?バカなの!?

なんであんなに賢いのに、なんでこんなにバカなの!?

ついでに死に装束のスーツもデスクに用意してあって「ネクタイの結び方はウィンザーノットで」とか置き手紙に書くし!!w

 

よくよく考えたら、登場人物が全員ジョージに惹かれていました。

恋人だったジム(ゲイ)はもちろんのこと、たまたま知り合ったスペイン人男性(ゲイ?バイ?)もジョージについて来ようとするし、大学の生徒のケニー・ポッター(ストレート)もジョージにのめりこんでくるし、昔つき合っていたチャーリー(女/ジュリアン・ムーア)もヨリを戻したがってるし、その上、観ている私(女)も好きになっちゃってるし。(まぁコリン・ファースだからってのもあるけど)

 

死を決意した視点で世界を見て、周りの人たちと触れ合うと、ジョージは「この世にはまだ生きていく意味があるんじゃないか」と次第に感じるようになります。

そして、それを感じた上でのあのラスト!

現実的というか、運命ってこんな感じだよなぁ・・・とつくづく思う。

 

ジョージは「何もかもがあるべきようにある」と言ってました。

生きることに目覚めた彼は幸せそうでしたし、死んだジムに会えた彼も幸せそうでした。

片方だけじゃなく、両方受け取れたからこそ、本当に幸せだったんだろうな。

『シングルマン』のマイナス点

愛する人が亡くなって生きる気力を失った男の話なので、相手が男の人じゃなくて女の人でもよかったような気がします。

これは偏見ではなく、ちょっとした違和感があったから。 

 

例えば、上半身裸でテニスしている男の体をまじまじと見たり・・・これ、愛する相手が女性だった場合、他の女性の胸や体をじっと見るなんて表現は絶対入れないでしょ。 

所々でトム・フォードの性的欲望が垣間見えて若干引いてしまう。

特にジョージの英国紳士然としている姿とゲイ的エロな部分って相性が悪いから余計に。

 

もちろん、ゲイということを公にできない時代で、愛する人の葬儀にも参加させてもらえないという、切なさややりきれなさを描く必要があったからこそ、ゲイという設定なんでしょうけどね。

ゲイ的な視点を抑えて、もう少しだけ客観的に撮ってほしかったというのが正直なところ。

 

あとジョージとジムが残念ながらお似合いのカップルに見えません。

ケリーやチャーリー、ちょっと会っただけのスペイン人男性でさえ、ジョージと並ぶとお似合いに見えるのに、ジムだけ合ってなーい。

成長したニコラス・ホルトくん

アバウト・ア・ボーイ』の子役だったニコラス・ホルトくんが『シングルマン』では、こんな成長した姿に・・・

マーカス

ケニー・ポッター

今となっては『ウォーム・ボディーズ』のゾンビくんや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のニュークスでおなじみになりましたね。

R

ニュークス

コリン・ファースのベスト作品は・・・

コリン・ファースは『シングルマン』でアカデミー主演男優賞を受賞する素晴らしい演技でしたが、個人的なコリン・ファースのベストは『高慢と偏見』のダーシー。

イギリスBBC制作のドラマで、最終回の視聴率は40%を記録。

日曜の夜の放送時間に街から人がいなくなったというのは本当ですか?w

まぁ、気持ちは分からなくもない。

「高慢と偏見」はローレンス・オリヴィエ主演で『高慢と偏見』、キーラ・ナイトレイ主演で『プライドと偏見』と映画化されていますが、このドラマ版がベストです。

 

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