7日間で頭がよくなるステップ
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4日目:物の見方を変える
目の前にリンゴがあるとして、そのリンゴの本質をつかむためには様々な角度から見る必要があります。
これが4日目の目的です。
物事の本質をつかむためには、複数の側面から対象を眺めることが大前提。
ここでのポイントは頭をほぐすこと。
頭の中でリンゴを様々な状態に置いてみる。
割ったり、色を変えたり、100分の1にしてみたり、二次元にしてみたり、裏面から見る、宇宙から見る、虫眼鏡で見る、分解してみる、百年後に見る、赤ちゃんの視点で見る、神の視点で見る、歴史の中で見る、一度捨ててみる、くしゃくしゃにしてみる、素材を変えてみる・・
とにかくいろいろなやり方で一つの物をとらえようとしてみることが大事です。
100通りくらいの見方はできるでしょう。
見方を変えることによって同じものでも違ったふうに見えてくるのです。
白に注目すれば盃に、黒に注目すれば向き合った2人の顔に・・・と、どこに着目するかによって同じ絵でも見え方が異なってきます。
基本的にはこれと同じことをやってみようというわけです。
さらに一歩進んで常識を疑ってみる。
固定概念を捨ててみる。
リンゴを果物と決めつけていますが、これを肉と捉えてみたり、宇宙人のうんこと捉えてみたり・・・
これくらいやらないと頭はほぐれません。
誰が雪が熱いと考えますか?
誰が人間に水は不要だと考えますか?
でもそれが新発見のはじまりであり、本質をつかむための糸口となるのです。
5日目:言葉の意味を膨らませる
4日目に頭をほぐした後、5日目に行うのは、対象となっているものを他のいろいろな言葉に関連させて意味をふくらませていきます。
その過程で対象となる言葉を分析できるのです。
類似語
まず対象となる言葉と類似する概念を挙げる。
言い換えてみることによって、言葉の意味が明らかになっていくのです。
リンゴといえば、梨に似たもの、球体・・・
類似する概念は「言葉の家族」で顔が似ています。
類似性を知るには辞書を引く、あるいは語源に着目する。
たとえば、hotel(ホテル)とhospital(病院)が同じラテン語のhospes(もてなす人)に由来することを知っていると、意外なつながりが発見できたりします。
物を名付けるにはそれなりの理由があり、その理由は合理的であることが多い。
だから別のどこかでも同じような名前が付けられます。
それらが類似語です。
また、人間の感覚や行為は繊細で、少し違うとそれはもう異なる感情であり、異なる行為になります。
それらを表現するためには別の言葉が必要です。
「嬉しい」と「楽しい」が違うのはよく分かりますが、「苦しい」と「辛い」もニュアンスが異なります。
関連語
次に対象となる言葉に関連する事柄を挙げましょう。
類似のものでも対比されるものでもない関連事項です。
方法としては、連想ゲーム。
リンゴといえば赤い、赤いといえば目立つ、目立つといえばロゴマーク・・・というふうに展開していきます。
ここで有効なのは「むちゃぶり」
むちゃぶりは、お笑いなどで急に無理な前振りをして、それに関連した言葉を言わせて笑いをとる手法です。
AとくればBというような論理的なつながりはなく、論理をすっ飛ばして関連性を瞬時に探します。
これは意外なところから関連性を見つけ出すいい訓練になります。
こんなことを千本ノックのようにどんどんやればいいのです。
その意味でこれが得意なお笑い芸人が頭がいいといわれるのは事実です。
反対語
類似語、関連語と来て、最後に反対の事柄を挙げて対比させていきます。
リンゴであれば、赤に対して白や黒や透明、形であれば球体に対して立方体、多面的、形がないなど。
性質では、食べられるに対して食べられない、目立つに対して目立たないといった感じ。
反対のものを挙げると、対象の姿がよりくっきりしてくるのです。
違いが鮮明になることで、性質が明確に浮かび上がります。
6日目:言葉を論理的に整理する
6日目は論理的に話す、そのために物事をまとめる方法を学びます。
これまで散々ふくらませてきたものを、ようやくまとめにかかる段階です。
具体的にはグループに分け、哲学概念を使って整理し、一文にするという3つのプロセスが求められます。
グループに分ける
まずは類似する言葉をいくつかのグループに分類。
リンゴなら色、形はもちろん、用法だと食用とマークとして用いるというのは大きく分けることができます。
社会的な位置づけという意味でも、知恵の象徴や芸術作品のモチーフ、キャラクターといった分け方ができます。
グループに分けたら新しい言葉に置き換える(タイトルをつける)。
10の哲学概念で整理する
グループに分けたら、グループ間の関係性を考えます。
ここまでは機械的、ここからは頭をひねります。
2日目、3日目で学んだ哲学概念を利用して、各要素の関係性を整理していきます。
①カテゴリー:階層的に分類
土、水、川、海の場合、土と水が並列で、川と海が水の下にぶら下がる。
②主観と客観:主体と客体に分ける
人間はご飯を食べる主体、ご飯は人間に食べられる客体。
③時間と空間:時間軸と空間軸の図表に位置づけ
飛行機と宇宙ステーションについて、飛行機は現代の地球上の話で、宇宙ステーションは未来の宇宙空間の話。
④イデア:真の姿を想像
江戸川コナンは現実の姿は小学生だが、本当の姿は高校生探偵の工藤新一。
⑤運動:運動として捉える
廃墟は必ずしも動いているわけではないが、100年というスパンで見ると朽ち果てていくという化学変化の途中にある。
⑥弁証法:マイナスをプラスに変える
複数の本が重くてかさばるマイナスを、パソコンを本のようにコンパクトにすることでプラスに変えた結果が電子書籍。
⑦否定弁証法:差異を差異のままに捉える
カレーライスとライスカレーは同じものとしがちだが、あえて違うメニューとして両方残すと、カレーとライスのどちらを重視しているかのニュアンスの違いが出る。
⑧構造主義:構造(全体)の中で捉える
ノーベル賞を単なる賞ではなく、国際政治という全体構造の中で捉えると、あたかも世界が目指すべき方向性のように見えてくる。
⑨因果関係:原因と結果という因果関係の中で把握する
あの日、あの時、あの場所で出会ったから、恋人同士になった。
⑩人間にとって:人間にとってどのような意味があるのか
哲学は人間にとってどんな意味があるのか?おそらく人類を進歩させることではないか。
一文にする
各々のグループを一つの言葉で説明できる状態になれば、今度はそれを一文にします。
この時も10の哲学概念を使います。
Aは主体でBは客体、かつBはXという構造の中というふうに。
整理ができたら英語文型を使って文章にします。
英語は主語・述語が明確な論理構造を有しているからです。
第一文型(S+V)
主語と述語。「神は死んだ」(ニーチェ)神は=S、死んだ=V
第二文型(S+V+C)
主語と述語と補語(C)「人間は考える葦である」(パスカル)
第三文型(S+V+O)
主語と述語と目的語(O)「すべての人間は、生まれつき知ることを浴する」(アリストテレス)すべての人間は=S、浴する=V、知ることを=O
第四文型(S+V+O+O)
「人はすべての権利を共同体全体に譲渡する」(ルソー)人は=S、譲渡する=V、すべての権利を=O、共同体全体に=O
第五文型(S+V+O+C)
「(私たちは)人間を目的にしなければならない」(カント)私たちは=S、しなければならない=V、人間を=O、目的に=C
7日目:一言でキャッチ―に表現する
一文にまとまったら、最後の仕上げは普遍化。
普遍化とは、いつでもどこでも誰にでもあてはまるようにするということです。
普遍化するためには、余分なものを取り除いて本質のみを表現する必要があります。
具体的表現だとあてはまる対象が狭まってしまうからです。
そのものの機能や役割、そして存在意義に着目。
車の場合「移動手段」、これをさらに本質だけにするなら「運ぶもの」
コツは一番大事な要素に目を向けること。
その要素が欠けるともうそのものの意味がなくなってしまう部分。
一気にそこに到達するのが難しければ、一つ一つ消去法でそぎ落としていきます。
そして、最後に心に残りやすいキャッチ―な形に整える。
キャッチ―に表現するための6つの技と例文
- 言い切り型:「万物の根源は水である」(タレス)
- 体言止め型:「警句をよく吐く人、悪い性格」(パスカル)
- ショック表現型:「人間は自由の刑に処せられている」(サルトル)
- 造語型:「私たちの現存在は問うことのできる存在である」(ハイデガー)※「現存在」は「人間」という意味の造語
- 謎かけ型:「あるものはある、ないものはない」(パルメニデス)
- 極論型:「存在するとは、知覚することである」(ヒューム)
大事なのは、よりよい答えを求めて考え続けること。
トレーニングを続けていけば、確実に考える力が身につき、物事の本質をつかむことが得意になっていきます。
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